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鷺沼教会月刊誌 Communio (コムニオ 一致)
鷺沼教会では『Communio (コムニオ 一致)』という名の教会報を毎月発行しています。
ここでは、その『Communio』より司祭巻頭言を転載いたします。

2019年10月号
緑に染まるアイルランド
主任司祭 松尾 貢
 

聖パトリック ラグビーワールドカップで盛り上がっている10月の日本列島です。日本が属している予選Aグループの最強チームは世界ランク1位(W杯開幕時点)のアイルランドで、優勝候補に挙げられています。どんな戦いが展開されていくのでしょうか。

 さて、アイルランドを代表する聖人と言えば、聖パトリック(389年頃〜461年頃)と聖コロンバヌス(543年頃〜615年)が挙げられます。3月17日の聖パトリック祭になると、アイルランドのダブリンや米国のニューヨークでは、沿道はグリーン一色。町が緑に染まるそうです。ラグビーのアイルランドチームのジャージの色もグリーンです。またアイルランドの国花はシャムロック(マメ科のクローバー、シロツメグサ)。アイルランドにキリスト教を宣教した聖パトリックは緑のシャムロックを片手に三位一体の説明をしたことで知られています。まさに、アイルランドといえば、緑色なのです。

 教会史の本を読んでいると、殉教には3つある。赤い殉教とはまさに血を流す殉教。2番目の殉教は白い殉教で、共同生活を送る修道生活のこと。これは血を流すわけではないが、血のつながりもなく、好きでも気に入った人でもない人びとと兄弟姉妹として共に共同生活していくことの困難さを表す。3番目の殉教は、特にアイルランドでは緑の殉教というものがある、と書かれていました。
 〈緑の殉教〉って何なんだろう、ずっと疑問に思っていました。これといった説明に出会ったことがなかったのです。ところが最近、阿部師のおかげでいい本を知ることができました。佐藤彰一著『贖罪のヨーロッパ』(中公新書)です。その本の第一章の「遍歴修道士と緑の殉教」という項に説明されていました。少し引用させて下さい。

 “アイルランドとウェールズの部族社会では、血縁集団や家族から離れ、孤独に生きるのは、贖罪と苦行の最高の形式とみなされた。……みずから進んで、より厳しい戒律に服して苦行を実践しようとする志向は、ウェールズやアイルランドに特徴的であった。アイルランドでは巡礼者としての漂泊や遍歴は、すでに述べたように隠遁の一形式であり、「赤い殉教」としての文字通り肉体の死で完遂する行為、「白い殉教」としての社会からの追放という形式に対比して、「緑の殉教」と称された。贖罪としての旅という意味である”。
 “贖罪としての旅”のことを、緑の殉教と表現するというわけです。

 アイルランドの古い修道院が孤島の峻厳な崖に建てられてあったり、急な海岸線の近くに石を積み重ねてあるのを見て、どうしてこんなところに造ったんだろう、と不思議に思われるのですが、贖罪という観点から見れば、そのわけが理解できるわけです。今は、世界遺産として、観光客が訪れる廃墟になってしまっていますが、中世を通して、贖罪のためにより困難でより険しく不自由な場所を求めた、当時の隠修士の信仰の姿勢が表れています。緑の草と海の青に囲まれた厳しいアイルランドの禁欲的隠修士生活。今のラグビーW杯を取り巻く雰囲気やメンタリティーと結びつけることは非常に困難ですが、そういう時代を経て、今日があることを知ることは有益なことかもしれません。


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