| 聖体の年 マリアの月 |
「ご聖体と子供」 | 主任司祭 小坂 正一郎 鷺沼教会の今年の年間目標は、聖体の年にちなみ「『あなたがたが彼らに食べ物を与えなさい』(ルカ9・13)というキリストの呼びかけに、一人ひとりが進んで応えることができますように」です。そして、聖堂を訪れるたびにこの言葉が誰の目にも飛び込んできます。そこでこの言葉をどのように読み、どのように捉えるべきかということが私たちに求められ、それによって私たちの信仰生活と霊的目標が決められていきます。
平たく読むと、あたかも後半の部分に力点が置かれていくような感じがしますが、私はここで前半の部分が大切なことではないかと思います。そこでこのところを少し考えてみたいと思います。
|
まず、ここに引用されたのは、5つのパンと2匹の魚をもって男だけで5,000人に十分食べさせ、しかも残りが12のかごに一杯になったという「パンの増加」のしるし(み業)は弟子たちに大きな衝撃を与え、人々は「この世に来られる預言者だ」と言って、王にしようと無理やり連れて行こうとします。(ヨハネ6・14参照)そのことは四福音書すべてがこのしるしを書き残していることからも分かります。
この文脈は「コムニオ」の1月号に山野内神父様が的確にまとめられていますので、よくお分かりになったことと思います。この大勢の人々とその状況を見て自分たちでは対処しきれないと判断した12人の弟子たちが、イエスに解散を依頼してきます。それに対するイエスの答えが、先ほどから述べている「あなたたちが彼らに食べ物を与えなさい」です。
他のテキストを見ても、弟子たちは手元にある200デナリや調達できるパン5つ、魚2匹ではどうにもならないことを告げます。イエスは彼らの言うことを完全に無視して、ご自分の行われようとすることを実行に移します。私はここのところがとても大切なところではないかと思います。
私たちが事を行うとき、この弟子たちのように振舞いがちです。自分の持っているものをもたらす、与える、活用するなど。むしろイエスは、ご自分のお考えに基づいてその手足となって働くこと、尽くすことを望まれるのです。そこで考えられないような結果を見ることができるのです。
先ほど帰天された教皇ヨハネ・パウロ2世は、聖体の年に当たって次のような具体的指針を示されています。
- 信仰をより強く公に証しすること。
- 聖体への崇敬を示す典礼や聖体礼拝、聖体におけるキリストの「現存」のより正しい理解を促進すること。
- 主日のミサとミサ以外の聖体礼拝への関心を呼び起こすこと。
- 聖体によってキリスト者に霊的活力と生きる目標を与えられること。
この勧めをもとにして、個人的にもっと聖体に一致する具体的努力を行うように勧めたいと思います。主日のミサを重視するのは勿論のことですが、各自の生活の場、自分の家庭、自分の職場において生きておられるイエス様との一致をしばしば思い起こし、賛美と礼拝を捧げるように努力することです。すなわち、一日中をイエスと共に生き抜く努力をすることです。小さな祈りのカードを聖堂入り口に準備しました。もしこれが助けとなるならば、どうぞ利用して下さい。
「神の偉大さのすべて、その全能のすべて、その聖性のすべてが、小さいパンの一切れのなかにこもっていることを!
神にとっては、ご自分の現存のすべて、偉大さのすべてを私たちの世界の内に凝縮するのに小さいパンの一切れしか必要ではありません!
主は外見的にはきわめて屈辱的な状態で、私たちの間に留まっておられます。そしてこの一片のパンが変容し、世界中を燃やし、私たちのうちで偉大さの最高の教えとなるのです。
行うことではなく、在ること! 他人の評判に頼ったり、自分を飾り、自分の才能をひけらかしたり、評判や賞賛を期待せず、限界のない自己贈与となること……」(モーリス・ズンデル『人間を見るもう一つのまなざし』P.252)
私たちが聖体のおいでのイエス様に一致すればするほど、清められ、高められていくのです。「あなたたちが与えなさい」と言われるもの、これはとりもなおさず、神様のものであり、神様からいただいたものなのです。これを理解するときズンデル師の言われることの深さを理解し、生きることができるのです。これこそ「聖体の年」の意義であり、プログラムなのです。
5月は聖母に捧げられた月です。こちらの教会に来て聖体の安置された小聖堂でごミサを捧げ、お告げのマリア様のステンドグラスを見ながら黙想する習慣がついています。「聖霊があなたに臨み」(ルカ1・25)の場面が鮮やかに描かれています。古い信者さんが口に慣れていた「めでたし聖寵満ち満てるマリア」であったからこそ、カナの婚宴において働いている人に「何でもこの人の言うとおりにして下さい」(ルカ1・5)と言うことができたのです。そして、私たちもこの言葉に従うとき、すばらしいみ業を体験することができるでしょう。この5月は、マリア様の模範を仰ぎながら、聖体の恵みに一致する心を高めて生活する習慣を作るよいチャンスなのです。
|
|
|