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鷺沼教会月刊誌 Communio (コムニオ 一致)

2006年6月号
6月・お父さんの月
父のちから
主任司祭 田中 次生
 
 私は教師として34年間教壇に立ってきました。宮崎の日向学院が15年、大阪の星光学院が13年間、サレジオ高専が6年間です。最初は若かったこともあり、生徒たちとよく遊んだので、指導した「カト研」や「弓道部」のOBの結婚式は随分頼まれて司式しました。どうせ憶えていないだろうからと、同じ話をしたら、「先生、先輩の結婚式で録画したものと、同じ説教でしたね」と言われてしまい。それからは同じメンバ−の時は、新しいものを準備するので、結構大変でした。

教会での結婚式は何回かの結婚講座をするので、そのうちの1回 '父親になること・母親になること' でやります。私の「ドン・ボスコの学舎より」を使って '父親の条件・母親の条件' を読ませ、一緒に考えることにしました。そんな時、'自分は父親・母親を尊敬している' や 'お父さんのような父親になりたい・お母さんのような母親になりたい' と聞くと本当に安心しました。お父さんやお母さんの良いところ、好きなところを話す婚約者たちの目も輝いてくるし、私が苦心して下手な話をするよりお互いが持っている尊敬しているお父さん像・お母さん像を分かち合ってもらうほうが、はるかに実のある講座になりました。私がもしイエス様だったら、あの有名なマタイの '幸いなるかな' にもう一つ加えて '幸いなるかな尊敬できるお父さん・お母さんを持つ子供たち' を付け加えたのではないかと思っています。それだけ良いお父さん・お母さんは、子供の人間としての成長に大切な存在だと思っているからです。

 さて、数年前ある大手の生保が「父の日」に因んでインターネット上で実施したアンケートの結果があります。「もしお父さんを漢字1文字で表現するとしたらどの漢字を選びますか?」の質問に、応募者の中から無作為に1万人を選びました。その第1位は「優」第2位は「働」第3位は「大」で、「優しくて良く働く大きな存在のお父さん」像が結果として浮かび上がってきました。「地震・雷・火事・親父」の「雷」は上位50位にも入らなかったとのことです。父親像も時代と共にその時代の影響を受け変化していくものなのでしょう。でもどんな時代にあっても、お父さんは 'ここ一番' という時 '大きな存在' であることが要求されるのは、時代を超えて家族から期待されていると言えるのではないでしょうか?

 阪神大震災の時、私は大阪にいました。あの地震は眠っていた私でも、'今までの人生の中でもっとも大きな揺れ' だと感じ、悪霊が私田中個人を狙って嫌がらせをしているのかとふと思ってしまうほど大きくまた長い揺れだと感じました。したがって神戸の被災者にとってはもっとすごく感じた揺れだったでしょう。結果としては6000余人の尊い命が犠牲になりました。時間の経過と共に分かったことですが、地震の時の、お父さんの取った行動がその後多くの家庭に影響を与えたのでした。震災前多くの家庭では、お父さんは自他共に「粗大ゴミ」的な存在だと思っていました。しかし、地震の時ベッドから裸足で飛び出したお父さんが、真っ暗な中、祖父母・お母さん・子供たちと次々と運び出したのでした。足は戸棚のガラス破片で、血だらけになりながら家族の無事を喜んだのでした。でもある家庭では信頼していたはずのお父さんが、いち早く一人で安全地帯に逃げてしまいました。当然のこと、地震のときのお父さんの行動は、その後の家族の信頼関係・結束力に大きな影響を与えたのでした。

 イエス様が、私たちに紹介して下さった神様は、まさに「天におられる私たちの父」です。そして主の祈りでも「天におられる私たちの父よ」(マタイ6:9)と神に祈ることを教えて下さったのです。また天の父は、種をまくことも刈り入れもしない空の鳥を養い、明日は炉に投げ入れられる野の草さえ装って下さるのです。(同6:26)だから、天の父の優しさに信頼しなさい教えられます。と同時に「天の父が完全であるように、あなたがたも完全な者になりなさい」(同5:48)の言葉で、天の父を私たちの目標とすべき大きな存在として指し示しています。ひょっとしてイエス様が、現代のこの日本で教えて下さるなら、生保のアンケートの上位3つの漢字、「優・働・大」の漢字をもって、父なる神を教えて下さるのかもしれません。
 

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