| S子ちゃんありがとう!! |
主任司祭 田中 次生
昨年12月初めから、オフィスの壁一面に貼られている沢山の写真に混じって、サレジオ学院幼稚園児S子ちゃんの力作「しんぷさま」の大きな肖像画が貼り出されています。
S子ちゃんのお父さんとは昔からの知り合いで、先日S子ちゃんを紹介してくれた時、私と3人で撮った写真をお父さんに送ったのです。その返事に送ってくれた絵葉書に「しんぷさま」の絵が描いてあったのです。幼稚園年少の子が一生懸命書いてくれた小さな絵を見て本当に嬉しくなりました。私はそのハガキを持って、受付から始まり、幼稚園の事務室、教会の中にいる人や、講座に通ってくる人たちに見せて、ハガキの切手を貼る場所に「しんぷさま」と描いてあるのを自慢して言ったのです。「ちょっと威張るわけではないのだけれど、私は皆さんとは違って、"切手になる偉人たちの仲間、教皇ヨハネ・パウロ2世、ワシントン大統領、鉄腕アトム"などの1人になりました。どうか宜しく!!」と言って周ったのです。
見た人たちの反応はよく、年少の子なのに良くできていると褒め、私が得意になっているのを見て、「田中神父様! この絵は実物よりもはるかに良く描けている。実物はねェ……」と異口同音に言うのでした。そんなことを言われたら実物の名誉を保つ以外になく、不本意にもその絵の悪口を言うことになってしまったのです。私はこう言い返しました。「何言ってるの!! この絵をよく見てよ。メガネは左右大きさが違うし、鼻だってもう少し高いはずなのに、耳だって片一方がこんなに大きくなっていないのに、それに髪の毛だってもっとフサフサしているのに……」と。そのうえ、止せばよいのに、教会と幼稚園の聖書講座のお母さん方に見てもらいました。そのときの意見です。- 「年少の子が描いたのなら、本当にお上手」
- 「メガネまでキチンと描いてあるのは偉い」
- 「耳まで描いてあるのもすごい。お父さんの参観日に子供からプレゼントされた"だいすきなおとうさん"の絵には、両方とも耳はカットされていたのに……鼻も目も口もしれにメガネも描いてある。この絵は最高!!」
- 「年少の子で"しんぷさま"と整った字で書けるのには舌を巻いた」
- 「子供は大きな紙に大きな顔なら何とか描ける。しかし切手を貼る小さな場所に、人の顔を描いている。"これはすごい"としか言いようがない」
- 「髪の毛がどうの、耳がどうの、メガネがどうの、という細かなことは置いといて、田中神父様の雰囲気を全体としてよく表現している。だからこの絵はスバラシイ!! もし絵が悪いというのなら、モデルも悪いということになってしまうでしょうに」
この最後の意見は信者のための「聖書講座」の出席者の中から出されたものですが、「モデル選定ミス」という穏やかでない方向に話が行きそうな気配でした。そこから、「すべて悪いのは"モデル"の責任」という結論まで行くのは時間の問題です。それで、私も納得せざるを得ませんでした。 考えてみれば、ハガキを貰ってS子ちゃんの絵を見た時、自分自身でも何となく似ているなと思ったし、目の前では確か1度しか会っていないのに、よくぞここまで的確にまとめてくれたと感心していたのです。それが周りにつられて議論しているうちに、その一番大切なことがどこかに行ってしまったのです。
イエス様は言われました。「あなたたちによく言っておく。あなたたちは心を入れ替えて幼子のようにならなければ、天の国に入れない。だから自分を低くして、この幼子のようになる者が、天の国で一番偉いのである」と。この話がやや複雑になったのは、私が「ついに私も"切手に選ばれるレベルの偉人になったのだ!!"」と周囲に威張って歩き始めたのが、そもそも出発点だったのです。今ここに心を入れ替えて「自分を低くすること」を、S子ちゃんの絵を見るたびに、思い起こそうと考えています。 「S子ちゃん!!"絵"のプレゼント本当にありがとう!!」
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