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鷺沼教会月刊誌 Communio (コムニオ 一致)

2007年6月号
 6月・お父さんの月 
主任司祭 田中 次生
 
ヨゼフ様 昔から「子供の日」があり、「母の日」があり、「敬老の日」があり、最後の最後に仕方なしに「父の日」が誕生したと言われています。ウソか本当かしりませんが、「父の日」の誕生の裏には、「女権拡張陰謀説」があるのだということです。実は、もう一日「母の日」が増えたというのです。
 「父の日」は「乳の日」であり、知能犯的な「女権論者」にまんまとひっかけられたのだと言うのです。従って「父の日」の誕生は、日本の社会における「父の権威」が失墜したことの証拠だと言うことになります。
 「地震・雷・火事・親父」の中で「親父」の言葉ほどその重みと評価が揺れ動いているものはないと言われています。
 コラムニストの青木雨彦も文化講演会でこんなことを話しています。「家を建てる時に、大工さんが一番日当たりの良いところを指差して、"ここを子供部屋にしましょう" というと、"うん、そうだ" と一番最初に飛びつくのはお母さんの方で、父親の部屋など全然ない。冗談がありまして、お父さんが新聞を持ったままトイレから出てこない。"どうしてなんだろう" と子供がお母さんにいうと "いいのよ、あれはお父さんの書斎よ!" などと言われたりする」と。
 さて、今回は聖家族の中のお父さん、聖ヨゼフについてご一緒に考えたいと思います。彼の生き方の中で次の点に絞って考えましょう。
  1. 脇役に徹した謙遜な人
    • 建前と本音「建前では、ヨゼフ→マリア→イエス。本音では、イエス→マリア→ヨゼフ」
       
    • マリア様には、天使からの直接の「お告げ」があったが、ヨゼフ様には、常に「夢の中でのお告げ」しかない。
       
  2. 大工ヨゼフの子イエス
    • 人々はイエス様が、大工であることに躓きました。マルコでは「彼は大工ではないか。」と言って、イエス様を理解しなかったと記録します。しかし、見方を変えれば、大工としてはきちんと認めたことになります。イエス様を大工として鍛えあげたのは、言うまでもなくお父さんの聖ヨゼフでした。
       
    • イエス様のお話の中で大工に関係するものが一箇所あります。それは「重荷を負って苦労しているものは皆、私のもとに来なさい。休ませてあげよう。私は心が柔和であり、謙遜であるから、私のくびきを受け入れ、私の弟子になりなさい。そうすれば、魂は安らぎを見出すであろう。私のくびきは負いやすく。私の荷は軽いからである」とマタイは記録します。(マタイ11:28〜30)
       当時のナザレは500家族ぐらいだったと聖書学者は推論していますから、何人かの大工さんがいてそれぞれに自分の得意分野があったと想像することができます。恐らくヨゼフ・イエス親子の得意分野は「くびき」製作だったのではないでしょうか? そうでなかったら「私のくびきは負いやすく」と自信をもって言うことは出来なかったことでしょう。イエス様が大工としてその腕前を評価されなかったとしたら、聞いている人々は「私のくびきは負いやすい」と言われたとたんに「何言ってるんだ!! ヘボ大工めが!!」と野次が飛んできて、お話が台無しになってしまったことでしょう。
       
    • 職人気質
      ヨゼフ様について、聖書はあまり記録していません。マリア様の言葉はそれなりに残っていますが、ヨゼフ様の言葉は一言も記録されていません。12歳の時の神殿での出来事も「あなたは、どうしてこんなことをしましたか。お父さまも私も心配して、あなたを探していたのです」と言われたのはマリア様でした。その中でさすがなのは「お父さまも私も」とマリア様がヨゼフ様を立てていることです。
       このエピソ−ドを読む時いつも「寡黙な職人気質」ヨゼフ様を想像します。ヘロデの刃を避けるためにエジプトへの避難行の時も、夜中に「起きよ。幼子とその母とを連れて、エジプトに逃げよ」と夢で天使のお告げを受けた時も、聖ヨゼフは見事にその父としての役目を果たされたのでした。
 イエス様が、仕事場と家庭の中でのヨゼフ様の後ろ姿から「男の生き方」を学んだのは確かなことです。

 

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