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鷺沼教会月刊誌 Communio (コムニオ 一致)

2008年2月号
 祈りのかたち 
主任司祭 田中 次生
 
ルルドの聖母 人一人ひとりに名前があり、性格の違いがあります。だから私たちの祈りについても、一人ひとりが "自分の祈りの形" を持っています。今日はご一緒にいろいろなの人たちの祈りの形についての探索の旅に出かけましょう。

 渡辺和子シスターは、マザー・テレサが来日された時の、マザー・テレサらしいエピソードを伝えています。来日中は、ノーベル平和賞を受賞したマザーの行き先には、マスコミ関係者が24時間体勢で待ち構え、カメラマンがフラッシュの雨を降らせました。マザーの同行者は馴れていないこともあり疲れ果ててしまったのに、当のマザーはいつもにこやかにカメラマンに付き合っていました。マザーは、付き添いのシスター渡辺に次のように囁きました。「シスター私はね、一つのフラッシュがたかれ、一つのシャッターが切られるたびに、一つの魂が神様の御許に行くようにと祈っているのですよ!」と。

 ドン・ボスコについても似たようなエピソードがあります。列福調査は、法廷の形式で弁護役と検事役がつきます。検事役は、当然「列福反対」の立場で意見を述べます。ドン・ボスコについては、あれだけ忙しいドン・ボスコは「祈りの時間がなく、祈らなかった」と意見をまとめました。確かにドン・ボスコは忙しく面倒を見ている500余人の子供たちのパン代を得るために苦労しました。「私は、寄付を願ってトリノ中を歩きました。私が登らなかったアパートの階段は、トリノの町には無いでしょう」とさえ言われました。しかし、弁護役は「では聞きますが、ドン・ボスコは何時祈らなかったのでしょうか? ドン・ボスコは歩きながら、階段を登りながら、寄付して下さったならその恩人のために祈りながら、町中を歩いたのです」と。この弁護が採用されて、ドン・ボスコの列福は認められたのでした。マザーもドン・ボスコも仕事をしながらお祈りをしたのです。

 星野富弘さんの昌子夫人によると、富弘さんは絵や詩を書く前には必ず神様にお祈りするそうです。絵を描くときは筆の先を神様が運んで下さるように、また詩を書く時も神様が素直な心を与えて下さるようにとお祈りをして始めるそうです。カトリック作家の曽野綾子さん・今井美沙子さんや、評論家の佐古純一郎さんなども同じことを言っています。自分たちが書くものを読む人たちが一歩でも神様に近づくことが出来ますようにとの祈りが込められているのです。イエス様も公に宣教を始める前に、40日40夜準備されました。サッカーや野球の国際試合を見ていると、名選手と言われる人たちが本当によく「十字架の印」をするので、びっくりすることがあります。すべてのことを祈りをもって始める形がそこにあります。

 マリア様のご生涯の中で、ルカは2度「しかし、マリアはこれらのことをことごとく心にとどめて、思いめぐらしていた」(2:19・2:52)と記録します。最初はクリスマスの夜であり、次は神殿でイエス様と再会されナザレでの生活を再開された時です。そうするとイエス様のご誕生から、十字架上のご死去に至るまで、ひと言で言えばイエス様のことをご生涯にわたって思いめぐらせていたことになります。これはいわゆる「黙想・念祷」と言われるお祈りの形です。
 

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